松柏堂

インタビュー
Interview
インタビュー

創業150年以上!老舗和菓子店の6代目店主

松柏堂本店

杉山 文観浩さん

Humihiro Sugiyama

リポーター 鈴木 志歩さん

静岡県出身、静岡県立大学国際関係学部
趣味・好きなもの:

お餅のように優しく包んでくれそうな6代目店主・文観浩(ふみひろ)さんのイチオシ

松柏堂さんは創業150年の長い歴史をもつ和菓子屋です。市民会館と駿府城公園に行き交う人やクルマがよく見えるお馴染みのあの場所。水落の交差点から1つ南のT字路にお店を構え、来る日も来る時もまちの変化を横目に変わらない大切なものを守ってきました。取材に応じてくれた6代目の杉山文観浩さんは、東京と京都で8年間修行をし、先代の味を引き継ぎながら時代に合わせた新しい商品の製作をしています。松柏堂は静岡市に2店舗構えており、静岡のお土産といえば有名な「あべ川もち」もとても人気です。個数別に箱が用意されていますが、自分用のちょっとしたお土産にも、親戚や家族用の人数の多い日にも持ってこいです。市民会館通りの本店では、本店でしか買えない早朝に焼き上げる生どらがおすすめです。生クリームどら焼きはどら焼きの生地に生クリームがサンドされており、和と洋がマッチした甘いながらもどこか落ち着くテイストです。

和菓子から知る『わびさび』を語る喜び

皆さんは和菓子をいつ食べますか?クリスマスや誕生日などのイベントでは洋菓子が主流になってしまってなかなか和菓子の出番がありません。ですが、和菓子は季節の変わり目に合わせた商品がずらりと並び、誰よりも早く私たちに春夏秋冬を知らせてくれます。その季節にしかない食材を用いて作られ、見た目も中身も繊細です。また、和菓子は私たちの想像力も掻き立てます。「わびさび」とは慎ましく質素なものこそ趣があり、時間の経過によってさらに現れる美しさがあるということです。和菓子の中でも上生菓子はまさしく「わびさび」です。
松柏堂さんのお店の外にベンチが1つあります。変わりゆく春夏秋冬、そして街ゆく人々を眺めながら、和菓子を片手に今の自分と語り合ってみてください。そして「わびさび」を感じてみてほしいです。

『みえる』歴史を紡ぐのはあなた

杉山さんの得意とする上生菓子は、現在店頭販売はされておらず、予約のみでの販売になっています。大事な人のお祝いなどに、ぜひお電話にて予約を入れてみてください。
また、お客様の声を参考に、どら焼きの皮の販売が始まりました。生どらやどら焼きの製造で余ってしまった皮を、袋いっぱいにして販売しています。皮だけで食べたり、好きな具を挟んだり友達や家族と自分だけのオリジナルどら焼きを作ってみてください。

(左)杉山さん (中央)リポーターの鈴木さん (右)リポーターの白石さん

まちを歩いていて松柏堂さんが見えるように、松柏堂の店内からもわたしたちが見えます。まちの人からも和菓子をつくる職人からも「みえる」関係がずっと紡がれています。「みえる」からこそ、さらに見て、さらに、感じてそして想像します。まちの人にとことん寄り添った温かい和菓子を大切な誰かを想って食べてみてください。そして自分の子どもへとまた歴史を紡いでいきましょう。

松柏堂について:
現在6代目として松柏堂を経営する杉山さん。和菓子店として慶応3年(1867)に創業されたそうです。この慶応3年は10月14日に「大政奉還」が表明された日本歴史上の大きな節目となった年です。松柏堂では創業当初は大福などの和菓子を製造販売し、杉山さんの先々代・お爺様の時代にあべ川もちも製造するようになりました。
「実家が和菓子屋という家に生まれたので、物心ついた時にはお餅をついているところを見ていました。だからずっとお餅が好きですね」と杉山さん。和菓子に欠かせない原材料なども変わらず静岡市内の取引先とのご縁が続いているそうです。「こういう代々続くお店だからお客様の松柏堂に対するイメージに沿っていくことも大切だと思っています」と笑顔でお話しくださいましたが、江戸末期から多くのお客様に愛されるお店の信頼を守るのは大変なご苦労があるのだろうと感じました。

取材時の様子

お店を受け継ぐために:
先代までの歴史を受け継ぐ中で、今のお店らしさも発信すること。杉山さんは幼い頃から和菓子屋6代目としての気持ちを持ち、東京と京都の和菓子店でそれぞれ4年経験を積みました。「東京と京都のお店は自分の足で探してお願いして働かせていただきました。4年という期間も自分の中で折り合いが付いたのが偶然同じくらいの時間でした」。「東京のお店は、特に生菓子や焼き菓子の商品が素晴らしく、作ってすぐに食べるため身体に良い素材などの勉強にもなりました。京都は、日本屈指の観光地としてお土産物の商品が素晴らしく、やはり良い素材を選んでの確かな技術を学べました」。こうした経験から、6代目杉山さんはお茶菓子や上生菓子など練りもの系が得意で現在の松柏堂の商品となっています。

今後の松柏堂をどうしていきたいか?
「このお店・松柏堂を受け継いでいく中で変えたいことは、この時代のお客様が松柏堂に求めていただいていることだと思っています」。大人気の生クリームどら焼きも、お爺様の代に作られるようになった銘菓・あべ川もちも、お客様の求めに応えた商品ということを教えていただきました。
「和菓子はどうしてもその時期の素材を生かした商品になりますから、お客様には美味しさと共にその季節を感じていただきたいと思っています」。松柏堂の正面には駿府城公園のお堀と桜並木などが見え、お城の季節ごとの景色が見えます。「祖父の時代、戦時中に静岡大空襲でお店も焼失してしまったのを再建させて今があると聞いています」そんな大変な時代も変わらず、静岡の味を守り続けてきた松柏堂のお菓子は静岡の味とその季節の素晴らしさを、いつの時代も伝えてくれています。

松柏堂 本店

住所静岡県静岡市葵区鷹匠2丁目3-7
TEL054-252-0095
営業時間水・木:10:30〜17:00
金・土・日:10:30〜18:00
定休日月、火曜日
URLhttps://shohakudo.stores.jp/

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